チンさんとの旅 続編 7 最終回 (後半)

01-18,2013

(※ 続編 7 前半からの続きです)

20日 木更津 ジャム
新幹線で東京に帰って来て一度家に帰り着替えてから笹塚のチンさんの家へ。まだまだこれからも東京近辺の仕事が続くのです。
チンさんの弟子ワタル君の運転で木更津へ。ジャムは本当に久しぶり。店の周りがすっかり変わってしまっているので同じ場所とは思えなかったけれど中に入ると昔のままでした。

今夜来てくれていたお客さんの中に33年間やっていた音楽と珈琲の店を今年の1月に全焼してしまってレコード1000枚、CDや写真等すべて失ってしまった人がいました。それでもこの11月に又復活するとの事。この様な話しを聞くと逆に元気づけられました。わき水で入れるおいしい珈琲なんですって。今度いつか行ってみようと思っています。


21日 館林 西の洞
チンさんの運転で館林へ。西の洞は始めてのお店。ステージを上から囲むように客席があって音響の事を考えて造ってあるお店ですね。響きが良いので今日はアコースティックで音響設備をほとんど使わない状態で演奏しました。
このところ館林に住んでいるというトランペットの日高憲男さんがゲストで数曲参加。彼は歌も歌うしなかなかユニークなミュージシャンだと思いました。


22日 相模原 メイプルホール
今日もチンさんのボーヤのワタル君の運転で相模原へ。今日のコンサートを企画してくれたスタッフの方々はその昔(本当にもう30年以上も前)に本田竹広達と演奏に来たこの相模原にあったお店に関係していた人達だったんです。その時の写真がアルバムになっていていっぱいあったので見せてもらいました。みんな若いこと。

今夜は演奏の前に少し時間があったので久しぶりに散歩へ。ワタル君と。彼はベース弾きでチンさんの弟子なんです。早稲田の理工学部でダンモ研の現役。ベースと音楽が好きで好きで好奇心いっぱいなとってもスペシャルな若者。何時もいろんな事を質問して来るんです。あ~でもないこ~でもないと二人で話しながら秋の夕方、会場の前の並木道を何処ともなく歩いていました。

会場のメイプルホールはデュオをやるのにちょうど良いサイズのホールでした。今夜もチンさんはアンプ無しでほとんど音響設備も使わないで演奏。

終わってからの打ち上げは昔話もいっぱいあって楽しかった。


23日 埼玉市 U3Chi
チンさんの運転で埼玉市へ。U3Chi は ユーさんち。ユーさんのお家だったんです。周りにまだ畑がある様な住宅地に建つユーさんの自宅のミュージックルームで15名ぐらいお客さんが入っての演奏です。とっても贅沢なセッティングですね。

演奏の前に時間があったので外に散歩へ。いい天気で太陽が気持ち良かった。まだこの辺りは自然が残っているんです。落ちている柿を見つけたので拾って来ました。土の地面の上を歩くと心が和むね。

今日は日曜日なので演奏は昼間だったんです。ユーさんは音響マニアなのでその部屋には素晴らしい音響設備があったのでレコードプレーヤーで何か好きなBlue Noteのレコードでもユックリ聞きたいなと思いました。
演奏の後は手作りのお料理で打ち上げ。ご馳走様!

東北の旅が始まったのが10月11日なので今日まで何と13日間ノンストップでした。


25日 Pit Inn
今日は峰さんと村上寛が加わって久しぶりのバンドでの演奏です。少し早めに行ってリハーサル。楽器をセットアップしながらヒロシの話を軽く聞いていたのですが内容がシリアスなので皆も手を止めてしまう。身体の調子が悪いので今日病院で検査してもらったところ心臓に問題が見つかって直ぐにでも入院そして治療を始めなければという様な事なのです。今年は周りのミュージシャンに不幸が続いて、そしてここに来て急に僕達に一番近いヒロシがそんな事になってしまって正直大ショックだった。
話は先に進みますが結局ヒロシは大丈夫ですから皆さんご心配なく。検査の結果、手術はしなくても食事療法とかとにかく今までの様なメチャな生活を(笑) しなければOKとの事。この前会った時も少し痩せて健康そうで元気だったので良かったよ。

今夜はお客さんもいっぱいで、DUG の中平さんが差し入れを持って来てくれました。誕生日のプレゼントを頂いたり、昔のサダオさんのバンドの時のバンドボーヤだった連中も来てくれて久しぶりで会う事が出来て嬉しかった。その時に会ったボーヤの一人フミがこの秋(2012年)不慮の事故で亡くなってしまいました。ご冥福を祈ります。合掌。


27日 Alfie
アルフィーのオーナー容子さんとBody&Soulの京子さんは東京のジャズクラブの中で光り輝く双頭ママさんですね。僕はこの二つのお店に出演させて頂いている事をとても誇りに思っています。
僕はトコちゃん(日野元彦)の関係でこのお店にも出演するようになりましたがもうずいぶん長い事になります。何時もチャーミングで素敵な容子さんに逢えるのも楽しみのひとつ。僕と誕生日が一緒なんですよ。


29日 前橋 G-Face Cafe
チンさんの運転で出発。前橋県庁のビルの中の一室がG-Face Cafeなんです。古い昭和のビルなので西洋館の様な雰囲気があって格調が高く上品なお店です。天井が高いし音の響きが良いのでやりやすかった。
今日は何故か一番前のテーブルにこの近くのコンサートホールで今日コンサートをやって来たという二人のクラシックのミュージシャンが座っていました。バイオリニストとピアニストだったんです。とっても良かったと褒めてくれました。バイオリンの女性は鈴木メソッドで育ったとの事。チンさんの伯父さんという事で驚いていました。

演奏の後店のオーナーの方と話していたら彼も昔しばらくの間New Yorkに住んでいたそうで共通の友達の名前が出て来たりしてビックリでした。世界は狭いんですね。


30日 恵比寿ガーデンホール ダンモ研50周年コンサート
今朝は電車で恵比寿へ。高田馬場から山手線に乗って新宿で座席が空いたので座ったら隣りに座っていた年配の女性の方に... あなた何かいい事なさっているのですか、眼がキラキラと輝いている ... っと言われてしまいました。今朝はもう起きた時から気持ちがワクワクしていたので、身体中がよろこびでいっぱいだったからでしょうね。
恵比寿駅で公衆電話を使っていたらNew Yorkの友達の星野君にバッタリ。一緒にガーデンホールに着くとステージではタモリが今日の演し物のリハーサルをやっていました。僕達もさっそくサウンドチェック。楽屋は先輩方や後輩達でごった返していて久しぶりに会う人も沢山いてワイワイガヤガヤ。
待ち時間がしばらくあるのでタモリが知ってるお蕎麦屋さんに連れて行ってくれるというのでワ~イ! タモリと彼のマネージャーそれにチンさんと僕の4名で外へ。ガーデンホールの広場を通ってエレベーターで降りてタモリの車が停めてあるガレージへ。ガーデンホールの前の広い遊歩道を話しながら先を歩いているタモリとチンさんの後ろ姿を見ていたら学生だったあの頃のいろんな思いが込み上げて来て時間が止まってしまったよ。風が気持ち良かった。今でもその時の二人の姿が頭に焼きついている。夢の様だった。

久しぶりに日野さんとも演奏出来たし、皆の演奏も聞けたし、タモリ教授の中洲産業大学も最高。ちょうどこの時期に日本にいたので出演出来て本当に良かったよ。
大盛況でダンモ研50周年にふさわしい素晴らしいコンサートだった。
幸田さん始めスタッフの皆さん本当にありがとう。そしてお疲れ様でした。


11月2日 茅場町 ウ・パドリーノ
僕の早稲田高校の後輩の吉田宗平君がブックしてくれたお店です。イタリア人のマリオが経営するイタリアンレストランでNew Yorkのリトルイタリアにある様なお店の雰囲気がしているんです。料理も本物で日本に居る事をうっかり忘れてしまいそう。
11月だというのにこの日は温かったので夏場の時の様にお店を外に開け広げていたので気持ち良かった。下町なので人形町の友達も来てくれたり又楽しい夜だった。

実は今夜も始まる前に少し時間があったので一人散歩へ。橋を渡って川沿いに知らない下町の街を歩いたよ。今度地図を見てみよう。


3日 横浜 Motion Blue
もうすぐこのツアーも終わり。そんな事を考えると少し淋しくてセンチメンタルになってしまう。今日はずっと一日中そんなセンチメンタルな気持ちから抜けられなくて何かため息ばかりついてしまって自分じゃないみたいな日だった。

今夜のチンさんのプレーは本当に素晴らしくて演奏しながら聞き惚れてしまった。今回のツアーの中で One of the best play だったと僕は思ったよ。

今夜はチンさんの奥さんのユキも来ていたので又ワタル君の運転で4名で東京に帰りました。


4日 那須塩原 カフェ グランボア
東北新幹線で那須塩原へ。今日は朝から気合を入れて仕切り直しです。
お医者さんの福嶋先生がブックしてくれた仕事です。チンさんと先生との関係から、今まで数回呼んでもらっています。先生はドラマーでもあるので途中から参加してトリオでも演奏。

僕の早稲田高校の同級生一同がわざわざ東京から夫婦連れで来てくれた人達もいて嬉しかったよ。皆が目の前のソファーに座っているので何かホームパーティーで演奏しているみたいだった。
駐車場の隣にあった柿の木から柿を一個失敬。演奏の後先生に連れて行ってもらった寿司屋でむいてもらったら渋柿だった!

那須に一泊して翌朝東京に帰って来ました。

5日その夜、弟が新井薬師の近所のお店でライブの演奏をするというので行ってみました。最近一緒にやっているDavidというイギリス人のキーボードとのデュオ。普段あまり演奏活動をしていないのでこうやって地元の新井薬師で演るなんてなかなか良いアイデアだね。小さなお店なので友達やお客さんがたくさん集まって人でいっぱいなので立つ場所もないという状態でしたが僕も少しだけ一緒に演奏して来ましたよ。


6日 アトリエ ひらり
いよいよこのツアー最後の仕事です。演奏前には又奥さんの手作りのおいしいランチをご馳走になって、ちょっと時間があったので近くの多摩川の土手まで散歩に行こうと思って外に出たらもうお客さんがボチボチ集まって来ていてる。小雨模様でしたが土手まで行って来ましたよ。
今日は顔なじみの方達がみんな来てくれた様な印象です。北海道からの二人。カコさん始めいつも僕達を応援してくれている方々。今日がちょうど還暦の誕生日だった大橋。
皆さん本当にありがとうございました。
最後といっても別に本当にこれですべての終り.... という事ではないのは分かってるんだけど、これでAround The World ツアーは終わりです。やっぱり物事には必ず終りがあるんですね。
充実して楽しかった日々、二人でこんなに続けて仕事する事なんてこれからも二度と無いだろうし、それを考えると哀しくて、淋しくて。
でも僕は今この旅から得た山ほどの感動がエネルギーになって又新しい人生の旅を歩き始めています。日本中の音楽を愛する人達との交流や触れ合いからもらった厚意や感謝の気持ち、音楽の喜びを分かち合う歓び、それらの感動が例えようがなく貴重な何にも比べられない程素晴らしい宝になりました。
レコーディング中の東北震災から始まったAround The Worldプロジェクトの2011年は僕の人生の中でもスペシャル中のスペシャルな忘れられない年になりました。

チンさん、お疲れ様。
そして本当にありがとうございました。
Thanks a million !

1月15日 2013年
MASUO


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写真: 伊豆松崎 J-Square 10月1日 2011年
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